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AIで顧客基盤育成を支援するAppier Groupのメトリクスを徹底分析

IR12.14.20213 min read

2021年3月、東証マザーズに上場したAppier Group (エイピア グループ)。2021年11月に発表された第3四半期決算報告では、事業成長を示す様々な指標が過去最高のパフォーマンスであることが示された。

Appier Groupは、AIを活用した顧客基盤育成のソリューションとして、「CrossX」・「AIQUA」・「AIDEAL」・「AXION」の4つのプロダクト展開。

潜在的価値の高いユーザーセグメントの予測・獲得から、ユーザーのエンゲージメント、顧客化に至るまで、マーケティングの広範なプロセスをカバーするフル・ファネルのプロダクト・ポートフォリオを形成している。

今回は、売上高 32億円、前年同期比+50%と成長が加速する同社のメトリクスを分析する。

Appier Groupのメトリクス分析

まず、SaaSビジネスの最重要メトリクスである、ARRの推移からみていく。

ARR 推移グラフ
(画像 : projection-ai:db)

今四半期のARRは117億円となっており、年度を通じて増加傾向を示している。前年同期の成長率は31%、今四半期は48%の成長率となっており、前年同期比で17ポイント上昇していることがわかる。


(画像 : projection-ai:db)

売上高も成長トレンドにあり、今四半期は過去最高の32億円、成長率は前年比+50%となった。こちらも前年同期比で18ポイントの上昇となっており、事業全体が力強く成長している様子がみられる。

また、収益の増分の内、62%が既存顧客からもたらされる点に注目したい。


(画像 : projection-ai:db)

直近12ヶ月のNRRの推移を見ると、前四半期より6ポイント上昇し、126.2%となっている。

NRR上昇の要因として、同社はマーケティングファネルに沿ったプロダクトを複数展開しており、各々でデータ連携できるため、Land&Expand戦略が上手く機能している可能性が高いと言える。

また、AIを使ったプロダクトの性質として、顧客の利用が続けば続くほど学習による精度向上の恩恵を受けられるため、継続利用のインセンティブが働きやすい点もあるだろう。


(画像 : projection-ai:db)

解約率(Customer Churn Rate)が0.8%前後で推移し、今四半期は0.76%まで低下していることから、上記インセンティブが働いていると考えられる。


(画像 : projection-ai:db)

ARPAにおいても、既存顧客からの収益増加が表れている。

通常、SaaSビジネスにおいて、顧客はスモールスタートし、時間の経過とともに利用規模が拡大していく傾向にある。そのため、新規顧客の獲得が伸びている場合、ARPAは減少することになる。

売上高の項目で述べた通り、売上高増分の38%が新規顧客によるものとなっているものの、今四半期のARPAは前年同期比+13.7%成長の3,080千円となっていることから、新規顧客増によるARPAの減少を打ち消すだけの既存顧客からの収益増が生じているものと考えられる。


(画像 : projection-ai:db)

今四半期の顧客数は73社の純増となり、前年同期比で+28.6%、前四半期比で+7.7%となった。既存顧客の収益拡大とあわせて、新規顧客獲得も着実に成長力の源泉となっている。

同社にとって73社の純増は、過去最大の増加数となっている。成長の背景としては、プライバシー保護の観点からサードパーティー・クッキーの規制が進んでおり、マーケティングにおけるファースト・パーティー・データ活用の需要が高まっていることが挙げられるだろう。

同社のプロダクトは、顧客基盤の育成においてファースト・パーティー・データの利活用をAIで促進するものとなっており、クッキー規制に危機感を覚える事業者からの需要は今後も続くものと思われる。

まとめ

追い風の事業の中、新規顧客獲得による顧客数純増、プロダクト・ポートフォリオによるNRR向上によって、過去最高の売上高と成長率に到達したAppier Group。

「将来の事象を予測するAIを用いて、データに基づく意思決定に従い、顧客企業の事業が成長・成功することを支援する」という同社のミッションは、ファースト・パーティー・データの重要性の高まりとともに、より一層のインパクトを社会へもたらすと考えられる。

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