財務や経営企画のバックグラウンドがない人にとって、事業計画を作るのは大変だ。
ExcelやGoogleスプレッドシートでゼロから事業計画をつくるのは、単純に膨大な時間が必要になるし、数値や関数の入力ミスが起きやすい。
実はWeb検索すれば、SaaS企業向けの事業計画テンプレートを無料で入手できる。しかし中身をよく見ると自社の事業にそのまま転用できない場合があるし、よくできているが故に入力項目が多く、何をどう入力・変更すればいいのかわからなくなることもあるのではないだろうか。
事業計画づくりの目的はあくまでも、ビジネスプランを明確化し、その実現可能性を客観的に検証することだ。
形骸化せず、本質的に意味のある事業計画づくりのポイントは大きく2つある。
1つは、変数の積み上げではなく「ありたい姿からの逆算」、「トップダウン型からの逆算」を行うこと。いつまでにどれだけ事業を成長させたいのかを決めてから、実行プランの策定と実現可能性の検証を進めることだ。
※逆算(トップダウン)で事業計画をつくるべき理由は以下の記事で詳細に解説しているので、ぜひ参照してほしい。
なぜ事業計画は「トップダウン(逆算)」で作るべきなのか
もう1つは「複数のシナリオ」を用意することだ。以下ではその理由とメリットを解説する。
事業計画を複数用意するメリットは「事業リスクの洗い出し」、「実現可能性の多角的な検証」、「ステークホルダーに対するアカウンタビリティ(説明責任)の担保」だ。
事業計画には「蓋然性」、平たく言えば「実現可能性」が求められる。
事業計画における蓋然性とは一般的に、思い描く成長曲線やそれを実現する個別のKPIの1つひとつが、一定の根拠に基づいていることを指すことが多い。
しかし別の観点では、事業計画における不確実性がどの程度見積られているかも問われる。
たとえばコロナ禍のように感染症が蔓延した場合、あるいはリーマンショックのような経済危機や、排ガス規制などの法改正など、事業環境の変化が事業にどう影響するだろうか。
先々の見通しを立てにくい状況下だからこそ、不確実性の検討は重要だ。事業に潜在するリスクを洗い出して事業の計画数値に織り込んでおけば、一時的に事業が不調になった際にリカバリープランを素早く立てられるだろう。
ビジネスに不確実性はつきものであるからこそ、複数パターンの事業計画が必要だ。松竹梅の3パターン用意するだけでも、事業のリスクを考えるきっかけになる。
竹は「必達目標」となるベースプランと考えるとよい。そしてベースケースを基準にした、やや挑戦的な目標を掲げたベストケースを松とする。加えて、様々なリスクが顕在化した場合のワーストケースを梅として準備しておき、それぞれのケースごとに事業計画を精査し、蓋然性を持たせよう。
パターン別の事業計画を立てる際に、ぜひ入念に検討したいのは「費用計画」だ。
売上が変動すれば当然、利益も大きく変動する。資金繰りにも大きな影響がある。松竹梅それぞれのプランで事業計画をつくりながら、何にどれだけ費用を投じられるのかを整理することで、取りうる施策とその優先順位が見えてくるはずだ。
たとえば採用計画において、販管費の増加をどれだけ許容できるかは、ベストケースとワーストケースでは大きく異なる。またマーケティング施策においても、ベストケースであれば広告宣伝費を増額して事業の成長スピードを加速させる選択肢も検討できるだろうし、ワーストケースならコスパよく顧客を獲得する手段を検討する必要がでてくる。
このように、費用についても複数パターンの計画を立てることで、事業計画の実現可能性を高めるための施策や手段を検討しやすくなるのだ。事業計画づくりを数字遊びで終わらせないためにも、費用計画の整理は重要なポイントである。
複数パターンの事業計画を立てておくことは、投資家をはじめとしたステークホルダーとの対話を円滑に進める効果もある。
どのステークホルダーも事業計画の蓋然性や実現可能性には目を光らせるが、多様なステークホルダーのそれぞれの立場を理解すれば、複数のシナリオを描いておく必要性がより分かるはずだ。
まずはVCをはじめとする投資家。リスクを背負って投資する彼らは、リスクに見合ったリターンを求める。であればこそ、起業家に求められるのは、事業における成長性と実現可能性を根拠に基づいて語ることだ。
一方、銀行などはVCとは異なり、貸し倒れのリスクを非常に嫌う。そのため不確実性を考慮したうえでも事業を健全に運営できること、つまり希望的観測を抜きにしても借入金の返済見通しが立つことを説明できれば、銀行は安心しやすいだろう。
また、社内メンバーも忘れてはならないステークホルダーだ。事業計画とそこから導き出されたKPIは、実際に業務を行うメンバーにとって目標であり、日々の業務に直結する重要な指標だ。
以下のように、3つのステークホルダーに対してそれぞれの事業計画をおくことで、VCや銀行に対して事業計画必達という責任を果たしつつ、従業員をより高い目標に鼓舞出来、ステークホルダーとの対話を円滑に進めることが出来る。
冒頭で述べた通り、複数パターンの事業計画をつくることは、ExcelやGoogleスプレッドシートでは手間や時間がかかり、ExcelやGoogleスプレッドシートに慣れていない場合は作成自体が難しい。
そこで、複数パターンの事業計画を逆算型で、かつ蓋然性を持って作れるツールを活用すれば、短時間で本質的な事業計画を準備できる。
たとえば事業計画SaaS “projection-ai”なら、「ベースプランのARRのn倍」といった形式でプランを簡単に複製できる。また起業家が考えるべきKPIが逆算型で用意されているので、入力項目の多さに惑わされることなくベースプランを作成可能だ。
加えて「ARRの成長倍率」「売上原価率」「セールス・マーケティング(S&M)費用」などの主要な変数については、国内・海外の上場SaaS企業のデータを参照できるため、事業計画の蓋然性を担保しやすい。
projection-ai は7日間のフリートライアルを実施しているので、事業計画の作成に取り組んでいる起業家は一度使ってみることをおすすめする。
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