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”ブランディング施策”によるセールス効率改善 10の実践例

S&M12.27.20216 min read

こんにちは、One Capitalです。

projection-aiは、「未達の事業計画を撲滅する」をミッションに掲げ、SaaSの事業計画を目標から逆算して、簡単に、とにかく早く作成することができるサービスです。このサービス、2021年6月にベータ版を公開リリースしたばかりなのですが、有り難いことに、すでに登録ユーザー数1,000名以上にご利用いただくサービスに成長しています。

そんなわけで、projection-aiではセールスのアクセルを踏むべく、今回はマーケティングプロセスの中でも最も人によって理解が異なる「ブランディング」という領域についてまとめてみたいと思います。


その中で、セールスの効率を改善するためには「ブランディング」を行うことが非常に重要だと考えており、今回はマーケティングの中でもブランディングにフォーカスして解説したいと思います。


ブランディングとは何か

そもそもですが「ブランド」とは何でしょうか?Wikipediaで調べてみると下記のように書いてありました。

ブランド(銘柄、英: brand)とは、ある財・サービスを、他の同カテゴリーの財やサービスと区別するためのあらゆる概念。当該財サービス(それらに関してのあらゆる情報発信点を含む)と消費者の接触点(タッチポイントまたはコンタクトポイント)で接する当該財サービスのあらゆる角度からの情報と、それらを伝達するメディア特性、消費者の経験、意思思想なども加味され、結果として消費者の中で当該財サービスに対して出来上がるイメージ総体。

うーん…。全然わかりませんね笑 抽象的に捉えようとすると難しそうなので、具体的に考えてみましょう。

例えば、あなたがある会社の社長だとして、「選択肢A:マッキンゼーから提案される1億円のコンサル提案」と、「選択肢B:(聞いたこともない)Special Consulting株式会社から提案される1億円のコンサル提案」、どちらを選ぶでしょうか?

もし内容に大差がなかったとした場合、大体の人は選択肢Aを選ぶのではないでしょうか。この場合、マッキンゼーにはブランドがあると言えそうです。

もう一つ別の観点から見てみましょう。ブランドの語源を調べてみます。

「brand(ブランド)」の語源は、焼印を押す意味の「Burned」で、自分の家畜と他人の家畜を間違えないよう、焼印を押して区別していたことに由来する。そこから、「銘柄」「商標」を「brand(ブランド)」と言うようになった。

ブランドの語源はburned(焼印を押す)、つまり焼印によって一瞬で「自/他」を判別可能にするもの、ということですね。

要するに、ブランディングとは「その物と、その他を判別可能にするための活動」とまとめられそうです。ここからは、この定義をベースに私が考えるブランディング活動のメリットや実践のポイントについてお伝えしていきます。

ブランディングによって得られる2つのメリット

私の考えるブランディングによって得られるセールス上のメリットは大きく2つです。

①顧客発見(「なんかこのサービス、見たことある!」):後ほど詳細は説明しますが、ブランディングでは顧客に広く認知してもらえるような活動を行っていくことになります。

例えば「名刺管理といえばSansanって聞いたことあるな。とりあえず問い合わせしてみよう」となれば、お客様に選んでいただける入り口にはまず立つことができます。サービス名が知られていなければ、そもそも顧客の検討の俎上にのることすらできません。

②競合優位(「このサービス、なんとなく良さそう!」):どんなサービスとして顧客に発見してもらえるかを意識してブランディングを行うことができれば、自然と競合より優位なポジションで検討を始めてもらうことができます。


ブランディングとマーケティングの違い

ここで、マーケティングとブランディングの違いも説明しておきます。

顧客を受注までに導く全行為がマーケティングであると捉える広義の定義ではブランディングもその中に含まれますが、ここではリードを獲得する(BtoBマーケティングでは、Marketing Qualified Leadと呼びます)ことに焦点をあてた狭義のマーケティングと比較します。

違いは、一言でいうと「指標」です。

マーケティング → リード獲得数(MQL獲得数)
ブランディング → 自然検索流入数(特にサイトトップ) < 指名検索流入数 < 認知率 (右にいくほど結果が出るまでに時間がかかる) 

つまり、リード獲得に直接はつながらず、一言で言えばサイトへのアクセスを増やすことを重要視した活動がブランディングです。これを図で示すと下記のようになります。



おそらくほとんどのスタートアップは上記マーケティングと呼ばれる領域の施策にコストを投じているのではないでしょうか。

急激な拡大成長を求められるスタートアップの初期段階で、短期的な施策にまずは取り組むというのは勿論やるべきことではありますが、それだけではどこかのタイミングで獲得リードは頭打ちになり、さらに似たようなプロダクトを持つ競合に勝てなくなっていきます。その時に、どれだけブランディング施策をそれまでにやってきているかが、そこから先、さらに拡大していくために求められるのです。

最近ではSmartHRさんもかなりブランディングには力を入れて取り組まれているようです。

参考:https://seleck.cc/1447

ただスタートアップ立ち上げ初期のリソースも足りないタイミングで、いきなり長期的な施策に取り組むのも難しいですよね。
それでは、ブランディングを始めるのはいつが良いのでしょうか。

私の考える最も良いタイミングは下記です。

①CPAが安定し、どの程度の費用でどの程度のリードが獲得できるのか予測できるようになった
②ロールモデル顧客が出てきた(サービスを通じて実現した成功事例)

①は勿論大事なことですが、実は②は見過ごされてしまいがちな観点だと思います。ロールモデルとなるような顧客がいなければどんなメッセージを発信しても、本質は伝わりません。

ブランディング 10の実践方法 

前置きが少し長くなってしまいましたが、ここからはブランディングを進めるにあたっての具体的な施策をお伝えしていきます。

ブランディング施策には、大きく分けて2パターンがあります。以下ではこの2パターンに分けて、それぞれ主要な5つの施策について解説していきます。

(1)直接ブランディング:ターゲットは見込み顧客。サイト流入数増などに“直接的に”つながる施策。
(2)間接ブランディング:ターゲットは新聞、雑誌、WEBメディアなどの記者。メディアに取り上げてもらうことで、サイト流入数増に“間接的に”つながる施策。

【直接ブランディング】

①マス広告(TV-CM、新聞広告、雑誌広告、タクシー広告など)
マス広告の場合、とにかく多くのターゲットにリーチすることができるのが魅力的です。「○○なら△△(自社サービス)」というキャッチコピーとともに一気に認知をとりにいくことができれば、その市場において圧倒的な第一想起を取ることができるため、非常に高い効果が見込めます。

費用はかなり高額になるので、資金に余裕がなければ難しいでしょう。ただ、最近はノバセルなど、地方の比較的安価なCMから始めて、拡大させていくというパターンもあるので、検討の余地があります。

金額:
TV-CMの場合:1000万〜数億円 放映する動画の制作も含めると、安価な地方CMのパターンでも1000万円程度はかかります。キー局にCMを打つ場合は放映枠の購入やタレントの起用費などもかなりかかるため、数億円は見込むべきです。
新聞広告、雑誌広告の場合:数百万円〜1000万円 社内にデザイナーがいる場合は広告制作を社内で済ませてしまうことも可能ですが、そうでない場合は広告の制作費用もかなりの金額になるでしょう。

タクシー広告の場合:数百万円〜1000万円 TV-CMや新聞広告などと比べて、企業の決済者クラスにリーチできる確率が高いため、近年BtoBサービスでタクシー広告を打つパターンが増えています。ただそのため費用は直近で上昇傾向にあり、かつ枠もそこまで多くないため、実際に打とうと思ってもかなり先の枠まで埋まってしまっている、ということがあります。

取り組む期間:中期(半年〜1年)
事例:https://blog.shojimiyata.com/entry/2017/08/17/205722

②SEO
見込み客が情報や製品・サービスを探す際に、自社のサイトが検索結果の上位に表示されるかどうかは非常に重要です。SEO施策では、色々考えるべきポイントはありますが、検索ボリュームの大きいキーワードについて記事を書く、というのが基本的なやるべきことです。

BtoB企業がSEOに取り組むべきかどうかを判断するのに考えるべきは受注単価、受注率です。1案件の受注単価が1,000万円、受注率が10%の場合、一つの問い合わせは100万円の価値があることになります。1位を狙えるような良い記事を書くのに1記事15万円程度かかったとしても、書いた記事からサイトへのアクセスが増え、月間に問い合わせが1件、年間に1件でも受注すれば十分にペイすることになります。

ただし、SEOは記事を書いてから効果が出るまでに時間がかかることが多く、本当にゼロから始めた場合は取組みから1年ぐらいたって、ようやくアクセス数が伸びてくるぐらいの感覚です。何かKPIを置きながらやるというよりは、このぐらいの工数を割く、と決めてやり続けることが大切です。

金額:年間200万円 自社ですべてのライティングをやる場合は人件費だけだが、キーワードの選定やライティング負荷軽減のために記事骨子作成を外部にお願いする場合は、月間5記事で15〜30万円のコンサルフィーが発生。
取り組む期間:長期(1年以上)
事例:https://keiei.freee.co.jp/

③大型カンファレンスのスポンサード/自社開催
見込み顧客が来場するような大型カンファレンスのスポンサーになることで、認知の拡大は勿論、同じくスポンサーをしている大手企業などと同格に見てもらえる効果もあります。

マーケティング活動の中ですでにイベントを数多く開催し、社内に一定の知見が溜まっている場合は自社でカンファレンスを開催することを検討しても良いでしょう。

カンファレンスを開催する場合は登壇者の選定が非常に重要です。自社でそのような人脈を持っていない場合は、ビジネスメディアに声をかけましょう。大体の大きめのメディアでは、イベント共同開催のサービスを持っており、営業してくれるはずです。

金額:
スポンサードの場合 1開催100〜500万円
自社開催(かつメディアに登壇者選定など依頼する場合) 1開催800〜1500万円
取り組む期間:中期(半年〜1年) ※著名人に登壇を依頼する場合は、半年先の予定でも確保が難しいことがあるため注意。
事例:https://forbesjapan.com/feat/pwc/

④展示会出展
見込み顧客が来場するような展示会に出展することでも認知の拡大を狙うことが可能で、元々はリアルがほぼすべての展示会でしたが、コロナ禍を受けて最近はオンラインの展示会もかなり増えてきました。

多数の見込み顧客と接触できる点はメリットですが、特にリアルの展示会の場合は出展期間の間はその場に自社社員が行き、一日中見込み顧客とコミュニケーションすることに時間を使うことが求められます。展示ブースが大きい場合はその分、アサインする人数も多くなります。

また、展示ブースは基本的に外部発注して制作をしてもらうことになり、まとまった費用が必要になります。

金額:(リアル開催で、展示会ブース制作を外注する場合)1開催数百万〜1000万円
取り組む期間:中期(半年〜1年)
事例:
https://www.office-expo.jp/ja-jp/about/hr.html
https://expo.boxil.jp/event/hr-2021-summer

⑤オウンドメディアの運営
SEOと似てはいるものの、キーワードをあまり意識せず、自社の専門領域に関するノウハウなどを発信していくことで認知の拡大を狙う施策です。ここまでの施策は比較的ターゲットを強く意識したものでしたが、オウンドメディアは自社が発信したいメッセージや、自社の強みにフォーカスして自由に運営することで、逆に他の施策では認知されなかった層へリーチできる可能性につながります。

社員の人数が少ないスタートアップであれば、月に3本書く、などと決めて社内で順番に記事を書いていくことなどがおすすめです。

金額:費用はかからないものの、執筆の工数がかかります
取り組む期間:長期(1年以上)
事例:https://cybozushiki.cybozu.co.jp/

【間接ブランディング (メディアに自社サービスについて取材してもらい発信する ≠ 記事広告)】

⑥事例取材とメディア営業
ブランディングはいつ始めればよいか、のセクションで「②ロールモデル顧客が出てきた(サービスを通じて実現した成功事例)」の重要性をお伝えしましたが、ロールモデル顧客の成功ストーリーが一番効果を発揮するのが、このメディア営業という施策です。

メディアの記者の方たちは常に面白そうなネタを探しているわけですが、その方たちに対して、「こんな企画で記事を書きませんか」という営業をすることになります。営業という言葉を使っていますが、そのプロセスはまさに顧客への営業と同じです。自社についての紹介資料をつくり、その中で自社の事業やサービス自体の面白さ、またロールモデル顧客のストーリーを記者に提案し、記者が取材したい、記事を書かせてほしい、となったら“受注”です。(あくまで比喩ですが)

記者の一存で記事になるかどうか、さらにはどのような記事になるのかも基本的には自社の思い通りにはならないため、一朝一夕にはうまくいかないことが多いですが、逆に中立的な立場で発信してもらえるからこそ、読者からの信頼性は非常に高く、効果も大きいです。

また、初めてメディア営業に取り組む場合は、記者とのつながりがないことの方が多いため、最初はそういった記者とのつながりを多くもっているPRコンサル会社との並走をおすすめします。

金額:月額50〜100万円(PRコンサルを発注した場合)
取り組む期間:中期(半年〜1年)
事例:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC110TO0R11C21A0000000/

⑦プレスリリース
新しいサービスのリリースや新たな取組などがある場合は、積極的にメディアに向けてプレスリリースを打っていきましょう。各種メディア記者の方はプレスリリースを情報収集源の一つとしており、良いプレスリリースが書ければ記者の目にとめてもらえます。

当然ですが、プレスリリースは自社サイトで発信するだけでは見てもらえません。今はPR TIMESなどを使って発信することが一般的になってきています。

金額:月額10万円(参考:PR TIMES契約費用)
取り組む期間:短期(数ヶ月〜半年)
事例:https://prtimes.jp/


⑧メディア向け会見
プレスリリースと似ていますが、記者の方に実際に集まってもらい、イベント形式でリリースを出すのがメディア向け会見です。当然ですが、どのような内容の記者会見を行うかが肝です。社会のトレンドなどとマッチしていれば、多くのメディアを呼び込むことができ、かつ記事も高い確率で書いてもらうことが可能です。

金額:1開催数十万〜100万円(会場費用など)
取り組む期間:短期(数ヶ月〜半年)
事例:https://www.wantedly.com/companies/lmi/post_articles/135708


⑨メディア勉強会
メディア勉強会は、いわば記者の方向けの販促セミナーのようなものです。記者の方も常に様々なトレンドについて勉強したいと思っており、そういったトレンドなどを解説する勉強会を定期的に開催することで記者の方と良い関係性を築くことができます。

ただし、勉強会の開催はコンテンツをつくることが大変でもあるため、マーケティング施策の見込み顧客向けのセミナーなどで、記者の興味を惹きそうなものがあれば、そちらへ呼び込むことも可能です。

金額:費用はかかりませんが、コンテンツ制作の時間+記者呼び込みの工数がかかります。
取り組む期間:短期(数ヶ月〜半年)
事例:ー (公開事例なし)

⑩書籍出版
書籍出版によって、その分野の専門家であるという認知を取りに行くことが可能です。特に経営者が自身の名前で書籍を出版することにより、書籍がプロフィール代わりの機能を果たし、様々なメディアから取材が次々と来るようになることもあります。特に明言されているわけではありませんが、マスメディアにゲストとして呼ばれるためには書籍出版(かつ売れている)は必須条件になっているイメージです。
ビジネス書籍は大体1万部売れれば「成功」、10万部売れれば「ベストセラー」、また別の指標としては「重版がかかるかどうか」が重要なポイントです。

金額:基本的には人件費のみ。ただし、良い書籍をつくり、かつそれを売ることにまでコミットしなければならず、著者(主に経営者)は土日、休日返上で取り組む覚悟が必要です。
取り組む期間:長期(最低1年以上) 出版社にアプローチし、実際に書籍が完成するまでに1年は見ておくべきでしょう。
事例:https://www.amazon.co.jp/dp/B07PZB9DTK/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

最後に ブランディングサイクルをつくろう

ここまで色々お伝えしてきましたが、結局良いブランドをつくるためには、良いプロダクトとそれによる成功事例がなによりも大切なことです。

「顧客の成功→事例の取材→メディアの露出→事例セミナーの開催(リードの獲得)→インサイドセールス→フィールドセールス→カスタマーサクセス→顧客の成功→…」というブランディングサイクルを構築し、長期的に取組み続けることでしか良いブランドはつくれません。



私たちもprojection-aiというサービスで良いブランディングサイクルがつくれるように、頑張っていきたいと思います。

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是非、ご興味あればお問い合わせください。

Written by Keisuke Okita (@kskokita)


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