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projection-aiを活用して8,000万円を調達!SaaS起業家が語るプレシリーズAの裏側

Finance11.29.20211 min read

今回のウェビナーは、資金調達プロセスにおいてprojection-aiを活用されたCloudBrains社の眞壁氏に登壇いただきました。本ラウンドにおいて、どのような投資家と話をしたのか、projection-aiをどのように活用されたのかなど、その裏側について話を伺いました。


<登壇者プロフィール>
眞壁 雅彦
株式会社CloudBrains 代表取締役

2003年オプト新卒入社。大手ポータルサイトの広告仕入責任者を担当後、モバイル広告本部長として年商40億円規模の組織を統括。その後、子会社(当時)のモバイルファクトリー社外取締役、事業開発部門などを歴任。在職中にBOND-BBT MBAプログラム修了。2015年1月に執行役員COOとしてGameWith入社。同年4月取締役COO就任。2017年6月東証マザーズ上場。2019年8月東証一部へ市場変更。同社の人事担当役員時代、業務委託管理の煩雑さに非常に苦労した原体験から副業・フリーランス管理クラウド「Lansmart (ランスマート)」のコンセプトを構想し、株式会社CloudBrainsを創業。


三好:眞壁さん、本日はよろしくお願いいたします。そして、資金調達おめでとうございます!簡単に自己紹介していただけますでしょうか?

眞壁氏:ありがとうございます。当社は2019年7月に設立しまして、「テクノロジーの力で”はたらく”をもっとなめらかに。」というミッションを掲げております。

具体的には、テクノロジーを活用することで、仕事に関する非効率・摩擦を滑らかにし、働く人の価値ある時間、経済的豊かさ、精神的豊かさを増やすことに貢献していく企業です。

経営メンバーには私とCTOの中川、Techアドバイザーとして山口氏に参画していただいています。
(同社の経営チーム)

株主は、今回出資をしていただいたPKSHA SPARX アルゴリズムファンド(以下、PKSHA)とSMBCベンチャーキャピタル(以下、SMBC)、そして、昨年11月に出資をしていただいたSYNQA、カナナビCEOの柳橋氏、Basic CEOの秋山氏となっています。

三好:ありがとうございます。どのようなSaaSを提供されているのでしょうか。

眞壁氏:はい、「Lansmart」という副業・フリーランスとの業務委託のやり取りをクラウドで一元管理できるサービスを提供しています。

ご存知の通り、副業・フリーランス人口は増加傾向にあり、そのトレンドは今後も継続していくものと思われます。Yahoo!さんが100名の副業・フリーランスを募集開始したという記事が話題に上がりましたよね。

副業として働く際、業務委託契約を締結する必要があります。業務委託は基本契約書、発注書、請求書の3つの書類が必要となります。

それを契約人数分だけ管理しないといけないのですが、厄介なのはフォーマットや契約期間が各々でバラバラなため、管理が非常に煩雑になっています。

企業はこれらをスプレッドシートなどで管理していますが、メールアドレスの誤りや契約更新忘れ、請求金額のミスなどといった課題を抱えています。

これらの課題を解決するのがLansmartです。
(Lansmartの概要)

ログインすると、部門・社員・業務委託パートナー・契約・請求などの一覧メニューから、フィルタリングやソート機能で欲しい情報へすぐにアクセスすることができます。

基本契約書については、クラウドサインと提携しているので、Lansmart上で契約締結を行うことができます。

発注書の作成については、契約形態や時給などを入力し、ワンクリックで発注書を作成することができます。月末には、請求書と作業報告書もワンクリックで作成・承認することができます。

このように双方のやりとりが滑らかになるため、発注企業側だけでなく、副業・フリーランスの方も工数削減のメリットを享受することができます。

ICCカタパルトでの正式リリースを機に、ベルフェイス社、Unipos社をはじめとしたスタートアップでの導入も進んでいます。

三好:まさにこれから必要とされるサービスですね。では、本題に入らせていただきます。今回のラウンド(プレシリーズA)の概要について教えていただけますでしょうか。

眞壁氏:はい。今回はリードでPKSHA、フォローでSMBCに入っていただき、8,000万円の資金調達を行いました。ベンチャーキャピタルからの調達は初めてです。

5月の連休明けくらいから調達の準備を始め、10月にリリースすることができました。資金用途としては、主に開発体制の強化です。

三好:開発体制の強化ということですが、現在はどのような体制で運営されているのでしょうか。

眞壁氏:業務委託も合わせると、約12名のチームで運営しています。エンジニア、デザイナー、カスタマーサクセス、広報、動画編集、マーケティングの業務委託も含めてチーム構成をしています。

もちろん、業務委託管理にはLansmartを使っています。笑

三好:ドッグフーディングは大切ですよね。資金調達に対して何か反響はありましたか?

眞壁氏:顧客からの引き合い、そして、金融機関や投資家からのコンタクトがありました。以前から定期的にプレスリリースを配信しきたのですが、これまで以上に引き合いがありました。

名前は明かせないのですが、大手メガバンクやその関連する証券会社、日本を代表する独立系VCや日本のスタートアップへ積極的に投資している海外機関投資家からも連絡がありました。

三好:それはすごいですね!なぜ、PKSHA、SMBCから調達することにしたのですか?

眞壁氏:大きく2つの理由があります。1つ目は、当社事業の成長戦略に関して、PKSHAの共感度と理解度が非常に高かったことです。一緒に戦略を練ったこともあり、長く伴走していただけるパートナーだと思いました。

2つ目は、PKSHAとタッグを組むことで、新たな付加価値を生み出せるのではないかと思いました。具体的には、「PKSHAアルゴリズムモジュール」とLansmartのデータを組み合わせることで、新たなサービスを開発できると思い、リード投資家として入っていただきました。

三好:なるほど。今回のラウンドでは何社くらいの投資家と話をされましたか?

眞壁氏:改めて数えてみたのですが、11社のVCと話をしていました。内訳は、独立系が7社、金融系が3社、CVCが1社という割合になります。

三好:眞壁さんからアプローチしたのですか。それとも、VCから連絡があったのですか?

眞壁氏:当時はまだ世の中にプロダクトもリリースしていない状況だったこともあり、こちらからアプローチをしました。

知人や既存株主から紹介してもらったり、紹介していただいたVCからまた紹介してもらったりを繰り返し、11社の投資家と話をすることができました。

三好:ピッチをされて、投資家に刺さったポイントとその理由を教えていただけますか?

眞壁氏:前提として、副業・フリーランス市場は今後伸びるマーケットであり、そこは議論する必要がありませんでした。10年スパンでのトレンドであることを、投資家の方もすでにご理解いただいていました。

そして、そこに隠れた課題が存在している点、加えて、私が前職(Gamewith)の人事だった際の原体験と紐づいているところが評価いただいたポイントでした。

最後は山の登り方と言いますか、どのようなポジショニングをするか、どのようなデータやアセットが蓄積するのか、そのようなアセットからどのようにMoatを構築できるのかをフレームワークを使って説明をしたことも理解していただきやすかったのだと思います。

ピッチの際、Lansmartのデータ活用戦略について、データサイエンティストである有識者の方からお墨付きをいただいている点を説明させていただいたことで、より信頼性のあるプレゼンができたと感じています。

三好:逆に投資家からお断りされた理由と、そこから学んだことがあれば教えていただけますか?

眞壁氏:お断りの理由もさまざまですが、当社に起因するものと、投資家に起因するものがありました。前者としては、経営チームがその時点で作れていなかったという点ですね。

調達をスタートした当時、役員は私1人で、現取締役CTOの中川はまだ業務委託として関わってもらっていた体制だったため、そこについても改善の余地があったと感じています。

また、MRR300万円に達していないと投資検討が難しいというベンチャーキャピタルの方もいらっしゃいました。私たちがプロダクトリリースして間もなかったため、タイミング的に投資検討いただくことができませんでした。

他にはファンドの償還期間が理由でお断りされたケースもありました。当社のようなプレシリーズAステージから5年以内でExitした過去実績がなかったとのことで、投資委員会を乗り切ることが難しいとの判断だったようです。

あとは、ベンチャーキャピタルのLPに当社の競合や類似サービスがいる場合や、当社の成長戦略が既存投資先の事業戦略に一部重複しそうな場合は出資していただけないということも学ぶことができました。

独立系ベンチャーキャピタルはリードで出資したいという傾向が比較的強い印象だったので、リード意向がある独立系VCと、フォローでも問題ない金融系VCの組み合わせはバランスが良いと思いました。
(資金調達の裏側について語る眞壁氏)

三好:なかなかリアルはお話ですね。では、事業計画に話題を移したいと思います。projection-aiを導入する前、事業計画をどのように作成・管理されていましたか?

眞壁氏:実は資金調達前はしっかりと作成していませんでした。

海外SaaS企業が公開しているKPIテンプレートやスタートアップ企業のCFOの方が発信しているスプレッドシートを使って作成を試みていました。

しかし、SaaS事業の経験がない上、エクセルがあまり得意ではないため、事業計画とKPIの関係性を読み解くのに苦労したり、数式の調整がとても大変でした。結局、使いこなせず、挫折してしまいました。

三好:そのような課題を持っている起業家の方は多いですよね。なぜ、projection-aiを導入しようと思ったのでしょうか。

眞壁氏:いくつかありますが、まずは、目標ARRを入力すれば、逆算かつ自動でKPIを算出してくれる点です。これはとても便利だと感じています。

また、projection-aiの「ナレッジページ」に日本・海外SaaS企業のコスト構造や人員目安などが掲載されており、こちらも重宝しています。業界水準を参考にしながら事業計画を作成できるのが良いなと思い、導入することにしました。

実は、そのようなクラウドサービスがないのかずっと探していたんです。今年1月にprojection-aiの一次募集(50社限定)をされていたのですが、200社の申し込みがあったとのことで、漏れてしまいました笑。なんとか二次募集(30社)に滑り込むことができ、導入することにしました。

三好:大変ありがたいです。今回のラウンドにおいて、projection-aiをどのように活用されましたか?

眞壁氏:まずは、projection-aiで目標ARRや必要なコストを素早く算出しました。残念ながらprojection-aiだけで完結させることができなかったため、その数値をスプレッドシートへ転記し、そこから、PLやCF表の作成を行いました。

また、別事業も計画しているため、それをアドオンして、最終的にはスプレッドシートで管理することになりました。

三好:なるほど。CF表、複数事業の管理機能があれば、projection-aiだけで完結できそうでしょうか?

眞壁氏:あとはARRではなく、純粋なPLを管理できるようにして欲しいですね。ベンチャーキャピタルからはPLを出して欲しいという要望があったので・・・。そのような背景もあり、今回はスプレッドシートが成果物ということになりました。

三好:ありがとうございます。純粋なPLは近日中に管理できるようになる予定です(11月12日実装済)。projection-aiを使ってみた感想を教えていただけますか?

眞壁氏:当社はプロダクトの正式版を9月にリリースしたばかりでトラクションもそこまで積み上がってない企業です。

そのようなスタートアップでも、国内・海外SaaS企業の事例を参考に事業計画を作成できる点は非常にありがたいと感じました。

ベンチャーキャピタルから「その根拠は?」と聞かれた時も、「SaaS特化VCが開発しているprojection-aiを使ってます」とか、「他社事例を参考にしています」というロジカルな説明をすることができました。

そのようなロジックが少しでもあると、分からないなりにどのように考えているか説明することができますね。

三好:今後のprojection-aiへ期待することがあれば、ぜひ教えてください。

眞壁氏:先日、「SaaSは人員数とARRに相関がある」というツイートをみて、目標ARRから必要な人員数が把握できると、リードタイムを考慮した上で採用計画を立てることができると思いました。

三好:ヘッドカウント機能ですね、こちらはすでに開発ロードマップに入っているので、ぜひご期待ください。最後に起業家の方へメッセージをお願いします!

眞壁氏:私はこれまで多くの起業家のセッションを聞くことで、たくさんの学びを得ることができました。そのため、本日は私が経験したことを少しでも多く共有することで参加者の皆さんのお役に立てればと思い、本日お話させていただきました。

今回、出資を断られたベンチャーキャピタルも多かったですが、行動量を上げることで(キズを受けながらも)事業戦略の解像度もより明確になるので、悩んだらとにかく行動してみるということが大切だと思いました。

三好:悩んだらまず、行動ということですね。本日は大変貴重なお話ありがとうございました!

眞壁氏:こちらこそありがとうございました。

Interview & Text by Kakeru Miyoshi(@saas_penguin
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